ソニーのトランスルーセントミラー(TLM、透過ミラー)方式のカメラは現在、α99を頂点に、α77II、α58と3種類ある。周知のように、透過ミラーで、約30%の光を反射して専用光学系AFセンサーに送り、残り約70%を透過して、イメージセンサーに送る。この方式の利点は言うまでもなく、静止画でも動画でも専用光学系センサーによる正確で迅速なAF作動が可能な点である。そして、α99のように、像面位相差AFとも同居させることができる(α99ではアシストAF)。欠点としては、約70%の透過光しかイメージセンサーが受光しないから、それだけ電気的な増幅率を高めないと、高い撮像感度を得られないことになる。だから、どうしてもISO1600ぐらいからノイズを消すか、解像度を保つかのトレードオフになり、ほかのカメラ(一眼レフや「ミラーレス」カメラ)に比べると、高感度でいま一歩ということになってしまうのだ。それでも、α77IIでは高感度性能を画像処理でかなり改善してあり、ISO3200~6400ぐらいまではなんとか許容できる画質となっている。ただ、TLMを透過する光というのは減衰するだけでなく、どうしても収差が一定量増えてしまうので、その対策も必要になる。α77IIは専用光学系AFとしてはいちばん多点の79点測距を実現し、瞳AFも実現した。そういう意味では優れたカメラなのだが、超高感度画質はあきらめざるを得ない。ちょうどシグマのフォヴィオンX3がその構造上、やはり高感度性能が劣ってしまうのと、理由はちがうが似ていると言えるだろう。ソニーはα99の後継機を出すのかどうかわからないが、おそらく出すだろう。それは、同社はAマウントとEマウントの両方を展開すると決めているように見えるからだ。Eマウントに統一してしまうと、高速連写機がなくなってしまう、というのも理由のひとつかも知れない。あるいは、Aマウントの交換レンズをこれほど展開してしまっているため、Eマウントのカメラだけで、Aマウントはマウントアダプターで、というわけにも行かないだろう。α99はニコンD800シリーズがD810になったぐらいのグレードアップだと思われるが、これはもちろん個人的な推測である。
ほかに荷物があって、カメラを持って出なかったので、iPhone 4Sで撮影。このぐらい写ってしまうと、高倍率ズーム一体型カメラは別として、1/2.3型のふつうのコンパクトデジタルカメラなど不要、と感じてしまう。