カメラのファインダーというと視野率が重視されがちだが、倍率も重要なファクターである。倍率がある程度大きいほど見やすいファインダーということになるからだ。しかし、フィルムカメラの時代は0.8倍前後が見やすいファインダー倍率とされた。等倍ファインダーなどもあったが、これは全視野を見渡すのにぐるっと目を回さなければならない。とても使いやすいファインダーとは言えなかった。デジタルカメラの時代になっても一眼レフはフィルムカメラと同じような表示方法をとっている。すなわち、焦点距離50ミリのレンズを装着し、ピントを無限遠に合わせた場合の倍率を表示することになっているのだ。たとえば、キヤノンEOS-1D X MarkIIは0.76倍、ニコンD5は0.72倍、ペンタックスK-1は0.7倍である。しかし、APS-Cサイズの一眼レフになると、このファインダー倍率が急に跳ね上がる。たとえば、ニコンD500はファインダー倍率1倍(等倍)であり、キヤノンEOS 80Dが0.95倍、ペンタックスK-3IIも0.95倍である。この高い倍率は50ミリレンズ使用という前提があるからで、35ミリ判一眼レフとAPS-Cサイズ一眼レフとでは、とうぜん後者がファインダー倍率が大きくなる(35ミリ判換算では50ミリは75-80ミリに相当する)。前提として50ミリレンズを使うことということになるのだろうが、イメージセンサーの大きさが異なる場合に、同じ焦点距離のレンズを使って表示するのがはたして正しいのだろうか。35ミリ判換算値(たとえばAPS-Cの倍率0.95は35ミリ判ではほぼ0.7倍となる)も併記すべきではないだろうか。ファインダー視野率に関してはガイドラインを発表しているCIPAもファインダー倍率についてはなんの取り決めもない。これがEVFを含むデジタルカメラまで広げると、ますますファインダー倍率に関して混乱が生じる。メーカーによっては35ミリ判換算値を発表しているところもあるが、ユーザーにわかりやすいような表記にすべきではないかと思う。なお、ペンタミラー方式のAPS-C一眼レフではEOS 8000Dの0.82倍、ニコンD5600の0.82倍などペンタプリズム方式のAPS-C一眼レフよりも倍率が下がるが、これはペンタミラー方式の宿命である。
RAWで撮り、ピクチャーコントロールなどを調整した。ニコンD7200、AF-S DX VR 18-300ミリF3.5-6.3G、絞りF8、絞り優先AE、RAW、ISOオート。