キヤノンが35ミリ判静止画とAPS-Cサイズ動画を同時に記録できるデジタルカメラの特許を出願し、2018年2月15日に公開された(特開2018-25599)。出願日は2016年8月8日である(特願2016-155558)。この発明は透過ミラーを使って、ミラー背面の35ミリ判撮像素子とミラー上部のAPS-Cサイズ撮像素子の両方に光を送って、静止画と動画を同時に記録できるもの(図)。それぞれの撮像素子には像面位相差AF画素を実装してもいいと記述されている。この特許出願は撮像素子の前に置かれた光学ローパスフィルターを圧電素子で振動させてダストを除去するのが特許請求の範囲であり、透過ミラーを使って、静止画と動画を同時記録させる発明は同社からすでに2012年12月20日に出願され(特願2012-277813)、2014年7月3日に公開されている(特開2014-122957)。つまり、キヤノンはこの発明をずっと研究し続けているという点が今回の特許出願が注目される点である。動画撮影中に動画撮影を途切れさせずに静止画を撮影するというのはひとつの理想であり、それを追求してきたことにキヤノンのなみなみならない熱意を感じる。たしかに、このような構成のカメラであれば、動画と静止画の画素数が異なる点も、光学ローパスフィルターのカットオフ周波数がちがう点も克服できる。また、ミラーを使っているため、フランジバックは通常のEFマウントと同じであると思われる。もし、このようなカメラが実現されれば独創的な業務用製品になるだろう。
キヤノンの特開2018-25599に係わる動画・静止画同時記録可能なカメラの実施例。この原理は特開2014-122957で開示されている。
RAWで撮り、ピクチャースタイルなどを調整した。ニコンD3、AF-S 17-35ミリF2.8D、絞りF5.6、絞り優先AE、ISO200。