ニコンが一眼レフの位相差(瞳分割)AFに関する面白い特許出願をしている(特開2012-173335、2012年9月10日公開)。これまで、位相差AFはメインミラーの中央部をハーフミラーとして、その背後に設置したサブミラーによって光をミラーボックス底部の位相差AF光学系に入射させる方法が一般的だった。この方法の難点は、メインミラー全体をハーフミラーにするわけにはいかないため、どうしてもハーフミラー部は画面中央に寄りがちになり、したがって測距点も画面中央に寄りがちだった。これに対して、最近ではイメージセンサーに位相差AF画素を埋め込んで、画面の中央近くだけではなく、周辺部でも測距可能になり、また測距点も大幅に増えるようになった。しかし、位相差AF画素は「画素欠損」と同じことであり、画像補間をして画質を高める必要がある。そこで、従来の一眼レフのスタイルを維持しつつ、広いエリアで測距ができ、しかも「画素欠損」を起こさない方法として、ファインダースクリーンに位相差AF画素を埋め込むのがこの特許出願の骨子である(図)。ファインダー光学系に位相差AF画素を設置するために、イメージセンサーとは関係がなく、したがって「画素欠損」は起きない。ただ、スクリーン上に位相差AF画素を置くために、測距点の部分からは光が透過しないことになってしまう。これを防ぐために、位相差AF画素は受光部と透過部からなり、透過部で光をファインダー光学系に送るため、位相差AF画素によるファインダー視野内への影響は最小限になる。位相差AF画素による像面位相差AFが流行している現在だが、このように従来の技術の延長上に新しい位相差AFを考案する、というのが面白い。もちろん、製品化がどうこうというのではないが、ニコンがあくまで一眼レフにこだわっているひとつの証拠とも言えるだろう。
香港のレンズメーカー、SLRマジックは「ミラーレス」カメラ用の交換レンズをフォトキナ2012で発表する予定であるという。ひとつは35ミリF1.4(T1.4)で、動画撮影をメインにしたもの。マイクロフォーサーズ用、ソニーEマウント用、Fuji Xマウント用がある。また、23ミリF1.7もあり、やはりマイクロフォーサーズ用、ソニーEマウント用、Fuji Xマウント用がある。
吉祥寺で。あまりにもコントラストが高い条件なので、後で少しレタッチをしている。35ミリ相当というのは、レンズ固定式の場合、いちばん使いやすい焦点距離である。富士FinePix X100、絞りF5.6、絞り優先AE、JPEGラージファイン、AWB、ISOオート。