日立が発表した「レンズレスカメラ」はデジタルカメラに真の革新をもたらすかも知れない。この技術はイメージセンサーの前にレンズではなく、同心円パターンを印刷した透過型のフィルムを置く構造になっている。光の入射角に応じた間隔の干渉縞(モアレ)ができることに着目し、フーリエ変換を応用した画像処理により、撮影画像を生成するもの。撮影後にピント位置を自由に補正できるという特長もあるが、なんと言ってもレンズを使わないですむという点が大きい。レンズという光学製品を使わないですむなら、いままでの写真レンズという概念そのものが根底から覆される。カメラ側ではミラーレス構造により、光学製品をほとんど排除することが可能になっている(イメージセンサーを製造する技術そのものは光学技術に基づいてはいるが)。これでレンズという光学製品をなくすことが可能となれば、カメラは光学製品ではなく、完全な電子製品となり、大きさや重さ、さらに価格を含めて、ドラスチックな変革が可能となるだろう。もちろん、今回の日立の発表は開発発表であり、具体的な製品ではないが、Lytroが理論を発表してから数年で実用化したことを見れば、同じようなタイムスパンで製品が登場してもおかしくないだろう。もちろん、同心円フィルムも光学製品と言えないことはないが、いずれにしてもデジタルカメラに革命が起こる可能性を秘めていると言えるだろう。
RAWで撮影して、ピクチャーコントロールなどを調整したもの。ニコンD7200、AF-S DX VR 18-300ミリF3.5-6.3G、絞りF8、絞り優先AE、RAW、ISOオート。