手ブレ補正機構はいまやボディー側のセンサーシフト方式を採用するメーカーのほうが多くなり、レンズ側の光学系シフト方式を採用しているメーカーが少なくなってきた。その中で頑としてレンズ側手ブレ補正機構にこだわり続けているのがキヤノンである。同社初の35ミリ判ミラーレスカメラのEOS Rでも、ボディー側手ブレ補正機構を見送り、レンズ側手ブレ補正機構としている。なぜキヤノンがレンズ側手ブレ補正機構にこだわるかというと、レンズの焦点距離が長くなるにつれて、レンズ側手ブレ補正機構のほうが有利になってくるからだ。センサーシフト方式の手ブレ補正機構だと、焦点距離が400ミリ以上の超望遠レンズでは手ブレ補正の効果があまり期待できなくなる。だから、ボディー側の5軸手ブレ補正機構を謳っているソニーでも、100-400ミリズームレンズや400ミリF2.8レンズはレンズ側手ブレ補正機構を採用している。しかし、レンズ側補正機構の弱点もないわけではない。X軸Y軸のいわゆるシフトブレに対しては光学系シフト方式は有効だが、光軸の周りを回転するようなZ軸の手ブレに対しては対応することがむずかしい。光学系を回転させるのはむずかしいし、精度を出しにくいからだ。このような回転ブレに対しては、明らかにボディー側手ブレ補正機構のほうが有利である。このため、キヤノンもいずれはEOS Rシリーズでボディー側手ブレ補正機構を採用してくることになるだろう。そうでないと、手ブレ補正機構を省略した28-70ミリF2では手ブレ補正がまったくない状態が続いてしまうからだ。
JPEG撮って出し。ニコンD2X、AF-S マイクロニッコール60ミリF2.8、絞りF2.8、絞り優先AE、AWB、ISO200。