デジタルカメラのイメージセンサーは今後どのような方向に進むのだろうか?すでに実用化されている技術としては、グローバルシャッター、クアッドベイヤ配列センサー、有機CMOSセンサー、そして垂直記録式センサーなどがある。グローバルシャッターはキヤノン、ソニーが2/3-1.2型のイメージセンサーで商品化している。全画素読み出し方式で、ローリングシャッター歪みのない電子シャッターが可能なイメージセンサーはおそらく近い将来に35ミリ判ないしAPS-C判のデジタルカメラで商品化されるだろう。クアッドベイヤ配列センサーはソニーが1/2型CMOSセンサーで商品化している。全画素で像面位相差AFが可能なセンサーで、たとえば1200万画素と4800万画素のように画素数を切り替えて使うことが可能である。これにより、高解像度と高感度性能を両立させることも可能だ。この技術が35ミリ判イメージセンサーに適用されるようになる可能性は高い。有機CMOSイメージセンサーは富士フイルム、ソニーなどが試作を終わっていて、垂直記録式センサーと組み合わされる可能性もある。そうすると、革新的なイメージセンサーが誕生することになるが、実用化はもう少し先と思われる。垂直記録式はシグマがFoveon X3ダイレクトイメージセンサーとして、すでにAPS-H、APS-Cを商品化し、近い将来に35ミリ判にも広げようとしている。ただ、ほかのメーカーは特許出願はしているが、垂直記録式にはそれほど熱心でないようにも見える。それはいままでのベイヤ配列イメージセンサーとまったく構造が異なるために、色再現性、感度などの面で二の足を踏んでいると見られているからだ。果たして、垂直記録式イメージセンサーがシグマのほかに実用化されるのかどうか微妙なところである。
Luminar 4によるAI合成。ニコンD500、AF-S DX VR 18-300ミリF3,.5-6.3G、絞りF8、1/500秒、ISOオート。