手ブレ補正は各メーカーともセンサーシフト方式のボディー内手ブレ補正(IBIS)を搭載するようになった。センサーシフト方式の手ブレ補正は前後および左右の角度ブレ(ティルトブレ)、水平および垂直方向の並進ブレ(シフトブレ)および光軸の周囲の回転ブレ(ローリングブレ)に対応した5軸手ブレ補正である。これに対して、光学系シフト方式のレンズ内手ブレ補正(IS)はティルトブレのみ対応した2軸手ブレ補正がほとんどであるが、キヤノンEF100ミリF2.8L Macro ISのように、シフトブレに対応した4軸手ブレ補正もある。しかし、ボディー内手ブレ補正で可能な光軸回転ブレにはレンズ内手ブレ補正では対応ができない。これは光学系を回転させることがほぼ不可能であるからだ。そうなると、ボディー内手ブレ補正だけで十分であり、レンズ内手ブレ補正は不要であると考えても不思議ではない。しかし、レンズの焦点距離が長くなり、撮影倍率が高くなると、ボディー内手ブレ補正では補正しきれないことがある。このために、ボディー内手ブレ補正を採用したデジタルカメラの望遠レンズにはレンズ内手ブレ補正機構が搭載されているのである。手ブレ補正機構は有効段数で補正の度合いが表示され、これはCIPA規格に基づいている。しかし、これには使用するレンズが限定されているという条件が付く。ボディー内手ブレ補正機構がたとえば有効段数6段でも、たいていの場合には標準ズームレンズでの有効段数であり、望遠レンズではその有効段数は当てはまらない。望遠レンズでのレンズ内手ブレ補正が有効段数4段であるとすると、そのレンズの最長の焦点距離での有効段数ということになる。このように、有効段数だけでは決められないのが手ブレ補正の補正性能である。さらに、手ブレは個人差が大きいので、有効段数というのはあくまでも参考の数値と考えたほうがいいだろう。
JPEG撮って出し。ニコンD500、AF-S DX VR 18-300ミリF3.5-6.3G、絞りF8、1/500秒、AWB、ISOオート。