キヤノンのデュアルピクセルCMOS AFは像面位相差AFの一種である。ひとつの画素に2つのフォトダイオードを持ち、それで位相差測距をする方式だからだ。ちなみに一般の像面位相差AFは撮像用画素と測距用画素が別になっている。キヤノンはあくまでもデュアルピクセルCMOSAFと呼称して、像面位相差AFとは言わない。ほかのメーカーもデュアルピクセルCMOS AFのキヤノンを像面位相差AFの仲間に入れていない。どうしてこのようなことが起きているかというと、デュアルピクセルCMOSAFではすべての画素が撮像用と測距用の2つのフォトダイオードを持つため、画素の役割が分かれていない。これに比べて一般の像面位相差AFは撮像用と測距用の別々の画素を持つため、測距用画素は欠損画素となってしまう。そのため、まわりの撮像用の画素から補間をしないと完全な撮像ができないことになる。このちがいによって、キヤノンはあくまでデュアルピクセルCMOSAFと言い張り、ほかのメーカーは像面位相差AFと呼称しているのである。キヤノンがなぜデュアルピクセルCMOS AFを開発したかと言えば、それはやぱり一般の像面位相差AFでの補間の問題があり、どうしてもノイズが残ってしまうという問題があったからだ。その後、技術が進歩し、補間してもノイズの問題はほぼ解決されるようになったが、キヤノンがデュアルピクセルCMOSAFを捨てることはないだろう。それは測距点を多く取れるという別の利点があるからで、一般の像面位相差AFでは測距点数はある程度以上は増やせない。補間が追いつかなくなるからである。こうして、両方式は並立して行くだろうが、いずれはクアッドピクセルAFも完全に実用化されるようになり、その時に像面位相差AFの呼称はどうなるのか注目される。